19年度

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九州農政局/農村コミュニティ再生・活性化支援事業
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集落力  

開催期日:平成20年3月22日(土)〜平成20年3月23日(日)
研 修 先:鹿屋市串良町柳谷地区
姶良郡姶良町「重富博物館」
研修目的:「地域づくり」について、各集落での取り組み方や事例を視察・修学すること。
参加人数:14名

<プログラム>               〔322日(土)〕

8:00

12:00

12:30

13:30

15:30

17:00

17:30

18:00

19:00

20:00

21:00

〜24:00

集合・出発(五ヶ瀬町鞍岡地支所・蘇陽町馬見原)

くすの木自然館 立山氏と合流・移動(鹿屋市)

柳谷地区 通称「やねだん」の「未来館」で地元食でのおもてなし昼食会。

柳谷地区の視察・研修 (柳谷自治区公民館長の豊重 哲郎 氏より、「地域づくり」について)

移動

宿泊施設チェックイン・入浴準備(KAPIC)

移動

夕食(道の駅たるみず)

入浴(湯っ足り館)

移動

宿泊施設到着(KAPIC)

ふりかえりミーティング・交流会・就寝

323日(日)〕

7:00

8:00

10:00

11:30

12:00

13:00

18:00

起床・朝食

チェックアウト(KAPIC)・移動

研修(くすの木自然館 浜本 奈鼓氏による、「地域づくり」に関するふりかえりまとめ・講習)

移動

昼食(「しどおか」完全自給の民家料理屋)

移動

到着・解散(五ヶ瀬町鞍岡・蘇陽町馬見原)

【やねだん視察】


「やねだん」の中心部に在る「未来館」に到着。


今回、ツアーのコーディネートをして頂いた、くすの木自然館の理事長である、立山氏との挨拶・研修の説明。


初日の昼食をいただいた「手打ちそば屋」未来館内の敷地にある。


過去、いくつもの「地域づくり」に対する表彰を受けていた。


地産で商品化している販売物も置いてあった。


昼食は、毎週 土・日 のみの営業で、完全予約制だという。当日は、他にも団体が来ていた。


最初は、空き家整備による「迎賓館」に文化交流として移住してきた方達の紹介をしていただいた。


ビデオの後に、豊重館長から、地域づくりに必要なものや、自主財源の内容についての説明を、質疑応答を交えながらやって頂いた。


講習後は、地域内での活動を実際に、歩きながら説明などをしていただく。(ギャラリーやねだん)


ギャラリー内には、現在移住してきている「アーティスト」さん達の作品が、きれいに展示販売していた。


これは、迎賓館3号館に移住してきた“写真家”の方が写したいろいろな写真。


手前は、迎賓館1号館に移住してきている“画家”さんが作った、「やねだん」Tシャツ。


「ギャラリーやねだん」の壁面に描かれた、ペインティング。


今度は、迎賓館6号館の視察に向かう。奥に見えるのが6号館。


入り口には、各アーティストさんたちによる作品が飾ってある。


縁側からの眺め。まさに、“アート”としか言いようの無い雰囲気である。


中に入っても、きれいに整理された中に、作品が置かれていた。


道沿いに出ると、「やねだん」地区の案内看板が立ててある。やはり、地域視察の多い地域柄なのでしょうか。


次は、自主財源の一角を担う、「土着菌」の醗酵現場を見せていただいた。


循環型の「地域づくり」には欠かせない、田畑での土作りにもかなりの効果があるという事で、かなり興味深いものでした。


最後は、豊重館長に御礼の挨拶をして、お別れです。本当に力強い「地域リーダー」であり、本当に学ぶべき所の多い地域でした。

○「やねだん」での研修まとめ・感想
・まず、集落に入った瞬間から、“きれいな集落”のイメージが強かった。
・集落の中央に位置する「未来館」は、地域づくりのシンボル的な広場で、地域の方々    の“思い”伝わ  ってくる広場でした。
・豊重氏が館長になってから一番基本にあるのは、「地域」の個性を引き出すものであり、地域の人々が楽  しく「地域づくり」が出来る方法を考えた結果が「やねだん」として成功した証であると思う。
・「地域づくり」にとって、欠かせない“財源”の確保を、行政に頼っていては、地域の個性を引き出せない。  “自主財源”を持つことで、集落全体の「感動」が持てるようになる。
・現在は、常時500万ほどの財源の余剰金を蓄えており、集落にとって必要なことには、素早く対応できる  仕組みや力がある。

【宿泊地・夕食】


宿泊施設の、鹿児島県アジア・太平洋農村研修センター、通称「KAPIC」。


KAPICは、大隈湖の隣にある、すごく静かな場所にあった。


夕食。「道の駅たるみず」での夕食は、地元養殖で取れた“海の幸”がメインの料理だった。


桜島近辺での養殖されているカンパチなどは、「桜かん」と言い、全国的にも有名らしい。


さすがに、地元自慢の特産料理を前に、今日の疲れも吹き飛びました。


食事が始まると、みなさん自然に笑顔がこぼれております。養殖とは思えない歯ごたえの良さでびっくりしました。


【2日目の朝食・移動】


二日目の朝食風景。
KAPICでは、セルフサービスになっています。


移動にて使用した交通機関は、鹿児島錦江湾ならではの“フェリー”でした。


桜島を離れて、錦江湾の対岸まで渡ります。フェリーの方が時間的にかなり早くなるので、地元ではみなさん愛用の交通機関です。


【重富博物館での研修】


姶良郡姶良町の重富海水浴場にある、「重富干潟博物館」に着き、立山氏からくすの木自然館の成り立ちを説明して頂く。


今回、講師をしていただいた浜本 奈鼓さん。くすの木自然館の専務理事と同時に、環境省・農水省・・・・など、いろいろな役員関係を務めていらっしゃる方です。


最初に、五ヶ瀬町の現状説明と、今回の研修目的を説明させていただく。(五ヶ瀬自然学校 理事長 杉田 英治)


説明を受けた内容に対して、浜本氏の各地域の事例や経験上から、詳しく講習していただきました。


館内には、所狭しと「重富干潟」での研究・調査に関する内容が展示してあった。(上記の写真は、「ゴカイ」の生態調査について記してある。


調査資料。
海底表層蓄積物調査の内容。


「重富干潟」での生態全般を説明してある部屋。


鹿児島湾についての説明をしてある。


くすの木自然館での環境保全活動の内容を記されているコーナー。

重富干潟博物館でのまとめ・感想
 ・「地域づくり」には、主に3つの項目「地域活性」「人口増加」「地域財源」があり、これらを別々に考えないと、 前には進まない。問題点を一つずつ解決していく事によって「地域づくり」が成せる様になる。
・現在の問題点として掲げていた、“過疎化・高齢化”に対しての講義では、実質的な意味で、「定住者の確  保」がほしいのか?「交流人口」の増加が欲しいのかの目的を明確にしないと、良い結果にはならないと  の話をしていただいた。
・浜本氏の理想的な意見としては、「Iターン者」ではなく「Uターン者」を第一に考えることが、一番良い結果  になるのではないかとの事。その為には、集落に住む大人達による食べていける仕組みづくりが大事であ  り、将来子供が「帰れる場所」を確保することが大事である。

【昼食】


2日目の昼食をご馳走になった民家料理屋「しどおか」外見的に、すごく立派な民家という感じである。


倉庫では、おじいちゃんが孫と一緒にくつろいでいました。手作りの囲炉裏は本当にすばらしいものでした。


倉庫内には、ギャラリーのように「自在掛け」がぶら下げてありましたが、どれもこれも手作りによるもので、売り物ではないらしい。


入り口に進むと、おしゃれな“のれん”がかけてあり、後に女将さんの手作りによるものだという事がわかり、更に感動です。


玄関ロビー。
中に入ると、高級旅館を思わせる様な雰囲気に包まれていました。


細部にまでこだわった手作り品が置物として飾ってあり、民家を忘れさせる思いです。


奥座敷の“欄間”。
最近では見られない代物です。本当に感激です。


縁側に飾ってある“墨”も、こちらの炭窯で作ったものでした。なんでも自給でされているみたいです。


これは、墨を藁で包んだものです。なんとなくお洒落な感じがにじみでる物です。とにかく工夫が大事だと思った。


同じく、縁側に飾ってあった置物。竹細工のお城でしょうか。


これも縁側に飾ってあった置物。とにかく“風流”を感じさせるものばかりで、雰囲気から、料理をおいしく食べて貰おうという思いが伝わってきます。


みなさん、あまりのりっぱな内装に感激して、なかなか座ることが出来ませんでした。


各テーブルには、「ようこそいらっしゃいませ」と描かれた葉です。おもてなしの要素が盛りだくさんです。


お料理は、全て自給により賄ったものです。一品一品がこだわりの田舎料理であり、昔から受け継がれてきた、“お母さん”の料理です。


あまりのおいしさに、一瞬にして食べてしまいました。何から何まで、手の込んだ料理で、みなさん無言のうちに完食してました。


食後のデザート。
クラッカーの上には、自家製にんじんで作った“にんじんのシャーベット”です。にんじんの味がしっかりでていて感激しました。


帰る前に、敷地の奥に“五右衛門風呂”があるというので早速拝見しに行ってみました。


きれいに並べられた石段の先に見えるのが“五右衛門風呂”です。これは、おじいちゃんが作ったものらしく、現在も使ってるとの事。

研修の総まとめ
 ・「地域づくり」とは、地域に住む人々の問題点を一つ一つ解決していくことが一番大事であり、それらを纏め上げる「リーダー的存在」が必要なのではないかと考える。
また、「地域の個性」をよく考え、住民全員が「個性」を出せる場所が必要であり、各々が“感動”を持てるようなつくりを考えていかないといけないと思う。
・地域一体となり、将来的に子供の帰る場所を確保する事で、過疎化対策や高齢化対策にもつながり、「集落」における「力」も持続していくのではないかと思う。
・今回の参加者には、“五ヶ瀬川流域”の各地から来られた方がおり、それらのネットワークも保ちつつ、各々が「持続可能な集落力」を持つことによって、今後の交流・文化にも相乗的な効果があり、助け合っていく必要があると感じた。

参加者の感想
 ・「今回の研修では、よその地域で出来ている事を目の当たりにして、自分達の地域でも何か行動を起こさ  

ないとだめだ!」という使命感がつきました。

 ・「やはり、“財源”がないと何も行動は出来ない。」と基礎になる部分のことについて、改めて確認できまし  た。

 ・「リーダー的存在の大きさを、知らされた研修でした」

・「地域での話し合いが必要で、一人一人の問題定義を大事にしていきたい」
 

 ・「民家料理屋「しどおか」での視覚・味覚両方での細部まで行き届いた演出に大変感動しました」

 ・「地域の個性を感じると同時に、心にグサッっと訴えるものを感じました」

 ・「“地域愛”に感動すると同時に、鞍岡地区でも将来、子ども達が帰ってこれる地域づくりが必要であると心  から感じました」