エコツーリズム大賞とは、環境省が、エコツーリズムに取り組む事業者、団体、自治体などを対象に、優れた取組を表彰し、広く紹介するもので、平成17年度から実施されています。

第6回エコツーリズム大賞では、応募のあった68件を対象に審査が行われ、大賞1件、優秀賞2件、特別賞4件の合計7件の受賞者が決定。

NPO法人五ヶ瀬自然学校は、特別賞を受賞いたしました!



9月25日(土)に東京都内の「東京ビッグサイト」にて行われた表彰式



●応募概要
豊かな自然と人間味あふれる人を主体とし、自然学校という手法を使って地域を活性化している。高齢化、少子化が急速に進む中で、放課後毎日子ども教室を開催し、地域の子どもたちに地域の大人が関わり育成する。その他体験型観光の確立、伝統芸能の継承などを行っている。

●講評
水の豊かな五ヶ瀬町で継続的に活動している。地域の清流はもとよりダム湖をも上手く利用してカヌーツアーなどを行っている。また地域活性化の取組も行い、特に子どもたちに対しての取組が特徴的であり、子どもたちの地域環境との関係深化に取り組んでいる。そして子どもたちが将来五ヶ瀬に町に帰って子育てが出来るよう、次の世代を見越して、地元米のブランド化や農産物の加工など広く雇用創出にも取組むなど、地域づくりへの幅広い関与が評価された。





【申請書より】

1.NPO法人五ヶ瀬自然学校について
人口2500人の中山間地域である五ヶ瀬町の豊かな自然と人間味あふれる人を主体とし、自然学校という手法を使って地域を活性化している。
高齢化、少子化が急速に進む中で、放課後毎日子ども教室を開催し、地域の子どもたちに地域の大人が関わり育成する。
その子どもたちが将来帰ってこられるように、米のブランド化を図り販売し米農家を盛り上げる。
その他体験型観光の確立、伝統芸能の継承など出来ることから取り組んでいる。



2.エコツーリズムガイドの手法(日本に希なる大峡谷「蘇陽峡」カヌー体験)

九州のグランドキャニオンともいわれる蘇陽峡は全長2Km程度の世界にも稀なU字峡谷であり、原生林に覆われた自然豊かなダム湖(五ヶ瀬川)である。2002年に北海道の釧路川から移住しフィールドを模索中に地元の方に紹介された。同年7月より半日のカヌー体験ツアーを始める。

1年目は70名程度の集客であたっが、現在は年間200名程度が訪れる。ダム湖に行きつくまでの道が非常に狭く、全て当社のガイドが車で現地にお連れする。行き止まりの道の最後にまで民家がある正に秘境である。

1日2回開催し、半日コースで限定3組まで1組に1名のガイドを配置する。団体の場合は最大で40名まで。阿蘇、高千穂の観光客が中心だが、カヌー体験のためだけに来る方も少なくない。清水域から始まるため初心者でも問題ない。小学校2〜3年生程度からはカヤックで一人乗り、幼児などはお母さん+ガイドとカナディアンに同乗する。3歳から参加可能。

夏は家族が多く上流側の清流で川遊びも行う。秋は日本紅葉100選の蘇陽峡をカヌーから見上げる。春は新緑と山桜、藤などを楽しむ。宿屋との宿泊パックも人気である。



3.環境保全の取り組み(清流小川カヌーでゴミ拾いキャンプ)
延岡市の旧北川町にある北川の支流小川を「奇跡の清流」と呼んでいる。

支流ではあるがカヌーが出来る水量があり、源流にダムが無く、河川周辺が照葉樹7割の健全な森林であるため非常に水が透明である。しかも水温は比較的高く、生き物も沢山いる。 こんな美しい川が日本にまだあったのか?と誰もが驚く。

2003年から1日コースでガイドも行っているが、延岡という交通の便の悪さからか、年間20組程度の参加にとどまっている。

小川をより美しく保ちたいという思いから、2005年にNPO法人五ヶ瀬自然学校が立ち上がって以来、年間4回程度募集型の企画として、清流小川カヌーでゴミ拾いキャンプを1泊2日〜2泊3日で行っている。川の対岸や川底、河原、淵などにあるゴミをカヤックが収集し、カナディアンカヌーで運ぶ。更に大岩からの飛び込みや川流れ、レスキュー体験、キャンプも行い、楽しみながら清掃活動、環境教育、防災教育、冒険教育を行う、一石何鳥もあるプログラムである。 6月初旬はホタル観賞も!毎回全国から20名〜30名が参加。見た目にもゴミが目立たなくなった。


4.地域活性化の取組放課後子ども教室「五ヶ瀬風の子自然学校」
2005年5月より五ヶ瀬町鞍岡地区において、文部科学省より委託を受け、地域子ども教室(放課後子ども教室)を年間平均250日開催、現在は鞍岡小学校の児童52名中48名が参加してる。

当初は国から直接委託を受けていたが、2007年からは五ヶ瀬町教育委員会からの委託となり、2008年度文部科学省より全国の優良事例として表彰された。その後五ヶ瀬町内の他の3小学校の保護者からも要望があり、今では五ヶ瀬町内の全ての小学校区に放課後子ども教室が設置されている。

特徴は地域づくりの中心人物が将来の五ヶ瀬町を担う人材を育成する目的で、子ども達に生きる力を教えている。五ヶ瀬に帰ってくる子どもの育成(教育)を地域の大人が一丸となって行う仕組みである。

まずは宿題をし、その後は世界のエコスクールとしてグリーンフラッグを目指そう(FEEJAPAN)と、子どもが主体となって会議を開催しながら様々なエコ活動を行っている。例えば無農薬での野菜、米の栽培、下校時のゴミ拾い、川の清掃活動など。15年後五ヶ瀬風の子自然学校の卒業生が鞍岡に帰ってきた時、新たな鞍岡が始まる。



5.その他の取組
農村コミュニティ再生・活性化事業
子どもたちが将来五ヶ瀬町に帰って子育てが出来るようにするには仕事がなければならない。様々なコミュニティビジネスを模索し、雇用を作り出すことが出来れば実現する。

林業部会が良質な五ヶ瀬町の杉を利用したキット型ログハウス(クラオカンログハウス)を、米農家が平成の名水100選である妙見神水で作った美味しいお米をブランド化(四億年の大地米)、お茶農家は伝統の釜炒り茶の廃棄分を利用した入浴剤(山茶のお風呂)を、椎茸農家は加工品(塩っこ椎茸)を開発、五ヶ瀬自然学校ブランドとして販売している。

今後の展望としては、農家民泊と自然体験をセットにし教育旅行に売り出す、山村留学を年間通して行う、空き農地を使って無農薬・有機農法をビジネスにつなげたい。


鞍岡地域づくり協議会

NPO法人五ヶ瀬自然学校はほとんどのスタッフがよそんもんである。地域を活性化するには地元住民が立ち上がらなければできない。

そこで、公民館長、役場を巻き込んだ鞍岡地域づくり協議会を立ち上げた。伝統のお祭りの盛り上げや、伝統芸能の継承・復活、新たな祭りの創造など住民の誇りを維持する活動を行っている。